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聖なる数字「9(Nava)」と天王星・冥王星・海王星



インド占星術と数字の関係は奥が深い。

「深い」と言ってしまうと、まるで僕がその深度を知っているような口ぶりなのでもう少し慎重に言うと、「計り知れない」ということになるだろう。


僕はもともと完全な文芸肌の人間で、専攻も東洋美術である(学科は哲学科)。

数学については、微分積分の段階で赤点を取りまくり、それ以降目もくれなかったので苦手意識しかない。


でも、数学の分野で偉業を残した人々については、漏れ伝え聞くエピソードの数々からひそかに畏敬の念を抱いていた。

「数学は生き物であり、情緒だ」と喝破した岡潔。

「ナマギーリ女神が舌の上に数式を書いていく」と語ったインドのラマヌジャン。

まるで詩人の言葉のようだ。

数学者たちは僕が決して見ることができない世界を覗き見ているんだなと感じていた。


そんな自分が将来深くインド占星術に関わるとは、その頃は想像もできなかったと思う。




なぜ「9」は神聖な数字なのか?



インド占星術の話に入ろう。


インド占星術では「9」は特別な神聖な数字であるという位置付けである。

12ハウスの象意を学んだ人ならおわかりだと思うが、9ハウスの主要な象意のひとつは「幸運(バッギャ)」だ。

9ハウスとはその人の人生に現れる加護であり、恵みをもたらす領域である。


清水先生が「もし自分が人を採用しようと思ったら9ハウスを見る」と言っていたが、この言葉に表わされているように、9ハウスのクオリティは自分のみならず、周囲の人間にその恩恵を波及させるのだろう。


では、なぜ「9」は特別な数字なのか?

その理由のひとつが9という数字自体の持つ特殊性である。


例えば、9に色々な数字をかけてみる。次に、解のヒトケタ目とフタケタ目を足す。いわゆる「数秘術」の方式だ。すると・・・


9×2=18 1+8=9

9×3=27 2+7=9

9×4=36 3+6=9

9×9=81 8+1=9


綺麗に「9」が揃っている。これは、9の〇乗でも同様だ。


9²=81 8+1-9

9³=729 7+2+9=18 1+8=9

9⁴=6561 6+5+6+1=18 1+8=9


さらに、今このブログを書いている最中に気づいたのだが、ケタのそれぞれの和が9になる数字にどんな数字をかけても同様である(当たり前のことだったらすみません!)


126(1+2+6=9)×6=756 7+5+6=18 1+8=9

2133(2+1+3+3=9)×4=8532 8+5+3+2=18 1+8=9


僕はこういうことを全く知らずに生きてきたので、こういう実例を示されると「すごい!」と単純に感動してしまう。


9という数字に示されているのは、その完全性。

9という円環の世界の中ですべては流転し、そして再び9に収束していく。

まるで輪廻の思想そのものだ。




9つの惑星(ナヴァ・グラハ)とトランスサタニアン



インド占星術と西洋占星術の大きな違いのひとつは、トランスサタニアン(天王星・海王星・冥王星)を使うかどうかである。

インド占星術は太陽、水星などの7つの実天体にラーフ・ケートゥを加えた9惑星(ナヴァ・グラハ)を使用し、トランスサタニアンは一切使用しない。

(ウパ・グラハと呼ばれる「感受点」を使用することはある)


もちろん理由はトランスサタニアンの有用性がいまだに実証されていないし、古典にも書かれていないからなのだが、ひとつ言えるのは、トランスサタニアンの3天体を使ってしまうとこの完全な「9」の円環が崩れてしまうということだ。


9惑星にトランスサタニアンの3天体を加えると「12」。

では、12で先ほどの数秘術を試してみよう。


12×2=24 2+4=6

12×3=36 3+6=9

12×4=48 4+8=12 1+2=3


この時点で崩れてしまっているのがわかる。


確かに、12も世界を構成する重要な数字のひとつである。

月の満ち欠けが一年間で12回繰り返されることからさまざまな意味が派生し、12星座や十二支、さらにはキリストの12人の弟子など・・・。


しかし、その完全性においては「9」に及ばない。

それはこうして数字の特殊性を紐解いてみると、少しだけ理解できる部分がある。


インド占星術が聖仙たちに見出された遥か古代、賢者たちがどのような眼差しで世界を見ていたのかは知る由もないが、数字は私たちにそのヒントを与えてくれる物差しのひとつなのかもしれない。

だからこそ、ラオ先生も生徒たちに「計算をしろ」と口酸っぱく教えるのだろう。



ただし、12の〇乗では必ず9に収束する。つまり、12は構造的に「9」を内包しているという見方もできる

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