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炎と水の境界【ガンダーンタ】とは?



かなり前の記事になりますが、「そこは、運命と運命の境界線。ダシャー・チッドラには何が起こる?」という記事で、「ダシャーの『境目』の時期は非常に不安定である」ということについて解説しました。


復習になりますがダシャー・チッドラとは、ダシャーの惑星が違う惑星へと移行する過渡期。

いわば「BORDER」の時期ですが、この時期はさまざまな問題が起こりがち、ということでしたね。


しかし思うのですが、世の中の問題の多くは、こうしたBORDER(境界)で起きているといえるのではないでしょうか。

世界中のあらゆる闘争は国と国、あるいは民族やコミュニティ同士の境界線で起こるし、動物も自身のテリトリーを侵されたと感じれば牙をむいて立ち向かいます。

個人と個人も同様で、あらゆる人間には物理的、心理的な境界があり、それは自身を護ると同時に争いの起点にもなります。



火と水の境界「ガンダーンタ」



先のダシャー・チッドラはカルマを司る惑星が移行する時の境界でしたが、インド占星術には他にもこうしたBORDERが存在します。

そのひとつが、星座と星座の境界です。


実は、星座の始めと終わりの±3°(27~03°)はもともとラーシサンディと呼ばれ、そこに位置する惑星は力を失うという原則があります。

つまり、星座と星座のBORDERに位置する惑星は傷を負うということ。


そして、その中でも蟹座と獅子座、蠍座と射手座、魚座と牡羊座の境界はガンダーンタと呼ばれ(上の図で赤く表示)、特にSensitiveな領域とされています。


なぜか?

上は12星座と四大元素の対応をあらわしたホロスコープですが、ガンダーンタの境界は「火」と「水」の境界に位置しています。

つまり火の元素と水の元素が混ざり合う場所であり、一番激しい科学反応を起こす場所なのです。燃え盛る炎に大量の水をかけた時の反応を想像すると、なんとなく納得できますね。



ナクシャトラのサイクルの「境界」



(「Jyotish-ONE開発ブログ」より)


実は、ガンダーンタが重要な境界である理由は他にもあります。

上の図は「ナクシャトラと支配星を覚えよう!」の記事で示したナクシャトラ表です。

ナクシャトラが以下の3サイクルで成立していたことを思い出してください。


① 牡羊座の0°(アシュビニー)から蟹座の30°(アーシュレーシャ)

② 獅子座の0°(マガー)から蠍座の30°(ジェーシュタ)

③ 射手座の0°(ムーラ)から魚座の30°(レヴァーティ)


ナクシャトラのサイクルは蟹座と獅子座、蠍座と射手座、魚座と牡羊座の境界で切り替わる。それは火と水の元素の境界であり、ガンダーンタと一致します。

つまり、そこはさまざまな切り替わりを示す領域であり、大きな断絶があるということです。



ガンダーンタの影響とは?



ガンダーンタに位置する惑星は傷つきますが、それだけでむやみに恐れる必要はありません。

しかし、上のホロスコープのような場合は少し注意が必要でしょう。

Mさんのホロスコープでは月が獅子座の0°、金星が獅子座の2°、そしてアセンダントが射手座の1°。いずれもガンダーンタの領域に位置しています。

ケートゥは射手座の3°12'なのでギリギリ「境界から3°以内」という定義からは外れていますが、多少の影響はあるかもしれません。


このようにガンダーンタの惑星が多い場合、特にアセンダントや月といった重要な要素がガンダーンタで傷ついている場合は、特に健康面で影響が懸念されます。



特にMさんの月はガンダーンタであるのみならず、逆行する土星のアスペクトで傷ついています。

ヴィムショッタリ・ダシャーで見ると彼女の月期は32歳から42歳。

彼女にこの時期の健康面について尋ねてみたところ、この時期は「当時付き合っていた恋人を亡くし、失意のどん底にあった時期」だと教えてくれました。




月は「マインド」をあらわす惑星であり、D1(左側の出生図)において凶意の強い8室を支配しています。また、同じくガンダーンタにある金星とコンジャンクトしています。

金星は「恋人」をあわらす惑星です。


また、右側のD9(ナヴァーンシャ)において月はやはり金星とコンジャンクトしてラーフ・ケートゥ軸にあり、パートナーをあらわす7室にアスペクトしています。


彼女の場合は直接的な疾患や怪我ではなく、身内の不幸を原因とする心的外傷でしたが、ガンダーンタによる傷もその一因ではないかと感じさせます。



ラーフとケートゥは常に対角線上に位置するため、ラーフ、あるいはケートゥとコンジャンクトすることを「ラーフ・ケートゥ軸にある」という言い方をする。

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