宗教者VS哲学者
今回はハウスの【9室】のある象意に注目してみたいと思います。
9室の象意についてはこちら
最強のトリコーナハウス※1、9室の数ある象意の中で特に学問分野に関わるのが宗教、哲学、形而上学、法律です。9室はこういった特に高等な学問、大学院レベルの教育をあらわすとされています。
つまり、仮説として考えられるのは学業への適性をあらわす5室に9室が絡んでいれば、その人の専攻はこうした分野に関わるのではないかということ。
ではさっそくホロスコープを見ていきましょう。
9室と宗教学
こちらは「ホロスコープにおける「自分軸」と「他人軸」」の記事で紹介したSさんのホロスコープ。
彼女は仏教系の信仰を持ち、教義を学んでいます。
・5室を支配する火星が9室にアスペクト。
・木星が定座で強く、1,5,9室(トリコーナ)すべてに絡んでいる。
・1室周辺(3~11室)に惑星が多い。
こちらは海外で宗教学を学んだ方のホロスコープ。
「文系・理系ざっくり判定法」も適用してみてください。
・5室を支配する土星が9室とその支配星(金星)にアスペクトしている。
・木星が高揚の星座にあり、1,5,9室(トリコーナ)すべてに絡んでいる。
・1室周辺(3~11室)に惑星が多い。
9室と木星は一見絡んでいないように見えますが、木星と9室の支配星である金星は度数ぴったり。ディグリーコンジャクト※2しています。
9室と哲学者
こちらは20世紀西欧文学を代表する世界的な作家、マルセル・プルーストのホロスコープ。
プルーストはパリ大学で哲学を学んでおり、代表作『失われた時を求めて』では無意識的記憶を基調とし、哲学的なテーマが展開されます。
・9室を支配する火星が5室の支配星にアスペクトしている。
・木星が深く傷ついており、1,5,9室との絡みは薄い。
手持ちのホロスコープの中に哲学科出身者がいなかったので、自分のホロスコープ出します。
正直あまり在学中は勉強しなかったですけど、卒業後はベルクソン、西田幾多郎、鈴木大拙、中島義道さんの本とか中心に読みました。
・9室を支配する月が5室にアスペクトしている。
・木星が深く傷ついており、1,5,9室との絡みは薄い。
一応木星と火星がディグリーコンジャクトですが、最初の二人ほど木星とトリコーナの絡みは強くなさそうです。
宗教者と哲学者の違いとは?
というわけでざっと見てきましたが、5室と9室の絡みがあるのは4人とも同じ。
しかし木星の強さおよびトリコーナハウスとの絡み、そして惑星の配置において大きな差が見られました。
たまたまではありますが哲学の二人はグル・チャンダル・ヨーガが成立しているのも特徴ですね。これは深く傷ついた木星に象徴されるヨーガで、「恩知らず、師を裏切る」など、はっきり言ってあまり良くない意味が羅列されているヨーガです。
ただ、この要素って哲学の探求には結構重要なのかなと思ったりします。
哲学者の言葉で一番有名なのはニーチェの「神は死んだ」ですよね。
ニーチェはこの言葉により従来の宗教的観念から脱却し、「超人」という新しい人類のあり方を提唱したわけですが、そういった発想はひとつの教義、宗旨に敬虔に寄り添う態度からは出てこない気がします。
もちろん、それぞれの宗教や哲学の教理内容によるとは思いますが。
つまり、人が真に哲学者になるには自分の中で一度神を殺す必要があるのかもしれない。
『カラマーゾフの兄弟』のイワンのように。
そんなことを考えました。
まあ、もっと色々ホロスコープを見ていけばここに書いたようなことはひっくり返るかもしれません。あくまで仮説ですね。
というわけで、今年はちょっとスローペースになりそうですが、ぼちぼち記事を書いていきたいと思います!よければお付き合いください。
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