作画AIにアキュバルのイラストを描かせてみました~niji journy編~
"With Dragon Shadow Rafu"
今回は占星術と関係ないお遊び記事です!
以前の記事で、Microsoftの作画AIであるImage Creatorにサイトのキャラクターを描かせるという試みを行いましたが、その続編。
今回は最近よく使っているniji journyというAIツールを使ってサイトのキャラクターや占星術の世界観を描かせてみました。
このniji journyは特に日本のユーザーに向けて設計されたもので、日本国内のクリエーターの特徴をよく捉えた作風が強み。
リリースは2023年なので、つい最近ですね。
とにかくImege Creatorと比べて、断然出力されるイラストのクオリティが高い。マンガ・アニメスタイルに特化しているだけあり、個人的にほとんど違和感なく使えています。
上のタイトル画像は今回生成した中ではお気に入りの一枚。
ラーフ(竜)と共に果てしない砂漠を行くアキュバルの立ち姿です。
風で砂塵が舞っている様子が、砂漠独特の清潔な空気感とともによく表現されています。
"Ancient Vedic Academy"
インド占星術の起源を辿れば、約23000年前と推測される『アタルヴァ・ヴェーダンタ・ジョーティシュ』の記述に辿り着くとされています。そこには「太陽がムリガシーラというナクシャトラにある時に雨期が始まった」とあり、2万年前のこの時点ですでにナクシャトラの概念が登場していたという事実を窺わせます。
数万年前の世界にはさすがに想像が及びませんが、こちらのイラストは、その23000年前に存在していたかもしれない「ヴェーダ」の総合学院を想定して描かせてみました。
インド占星術はヴェーダ(「知恵」という意味の学問体系)の補助学である「ヴェーダーンガ」のひとつという位置付けですが、これだけの大きさの学校であれば、おそらくヴェーダのすべての部門を網羅して教えていたことでしょう(妄想です)。
どこか、『ハリー・ポッター』のホグワーツ城と『ラピュタ』的な空想古代遺跡の造形を折衷したようなデザインになっていますね。
"Vedic Libraly”
こちらは学院の図書室。ほぼ吹き抜けの開放感のある空間で、学生たちが椅子に座って思い思いに時間を過ごしています。
もちろん、数万年前にここに描かれているような紙の記録媒体はありません。なので言わずもがな「超古代文明・アトランティス」的な空想上の産物です。
ちなみに、ヴェーダはもともとこういう文書で教えられるものではなく、「シュルティ(天啓)」といって、限られた人間にのみ口伝で継承されるものでした。
聖人たちが記した文書によって伝承する方法を「シュムルティ(聖伝)」と呼んで区別しますが、シュムルティはカリ・ユガ※1の時代以降、プラーナ(神話)やイティハーサ(叙事詩)というかたちでヴェーダの教えを大勢の人々に広める役割を果たしました。
”In the courtyard of Madrasa”
マドラサとはイスラム世界における高等教育機関。
学院の中庭で占星術の書を読み耽る若き日のアキュバルという設定です。
現代のイスラム教が占星術と結びついているイメージはありませんが、中世のイスラーム諸国では特に天文学や数学、医学などの学問を発展させ、その成果は現代社会を形づくる科学文明の基層となりました。
そして、実はラオ式インド占星術にも「ヴァルシャファラ」というイスラム占星術の体系がしっかりと継承されています。
実はアキュバルは『ブラック・ジャック』※2のように、エリートコースから外れたアウトロー的な存在という設定なのですが、学生時代は僧侶のように身なりも小綺麗に整え、真面目に勉強しています(笑)
"Krittika Nakshatra"
定期的にブログの記事にもしているナクシャトラ。
ナクシャトラとはいわゆる「27星座」のことで、ひとつのナクシャトラの幅は360°÷27=13°20'。
月が毎晩ひとつ隣のナクシャトラへと移っていく様子から「月の花嫁」と呼ばれるそうです。
当初はナクシャトラの記事画像にミュシャのパブリックドメインの絵画を使ったりしていましたが、今ではniji journyにナクシャトラのイメージを描写させることに凝っています。
上の画像はナクシャトラ「クリティカー」のイメージを描かせたもの。
支配星は太陽で性格は高慢、炎や武器を象徴するナクシャトラでもあります。
どことなく『ヴァルキリープロファイル』※3のレナス(CV:冬馬由美)のような凛々しさを感じさせますね・・・!
ヴァ・
”Setaareh found a black cat”
最後に、サイトのキャラクターであるセターラさんのイラストを1枚。
路地裏で黒猫を確保した瞬間です。
とにかく何枚も描かせてみて思ったのですが、こうした路地裏のちょっとした一場面に感じられる光の温度感、軒下の陰影と頭上の青空の対比、脇に置かれたちょっとした植物など、景観描写に関してはすでにかなりのクオリティに達していることがわかります。
その一方で、「手」の表現に関してはまだまだ未発達というか、苦労している領域のようでした。確かに、元美術部である僕も一番デッサンで苦労したのが複雑な手の表情でしたね。
上の画像は何枚も描かせてようやく達した成功例。
しかし、こうした欠点も来年、いや来月には克服されているかもしれません。
というわけで、今回はniji journyを使った作画の実験でした。
AIをめぐる議論はさまざまありますが、少なくとも「アイディア出し」にある程度の効果を発揮するのは自分も実感しているところです。
イラストについては、また機会があれば紹介してみたいと思います。
※1 インド哲学において循環すると考えられている4つのユガ(時代区分)のうち、最後の段階。現代もカリユガ。人心が神から離れ、荒廃していく時代とされる。
※2 手塚治虫による医療漫画作品。天才的外科医だが医師免許を持たない「ブラックジャック」の活躍を描く。『週刊少年チャンピオン』にて1973年11月19日号から1978年9月18日号にかけて連載された。
※3 エニックス(現スクウェア・エニックス)が1999年に発売したPlayStation用ゲームソフト。北欧神話をモチーフに、命を落とした英雄たちの魂を運ぶとされる半神半人の女神ヴァルキリーを主人公にしたRPG(ロールプレイングゲーム)。
Comments