理想に生きる清廉な星の配置【ガジャケーサリ・ヨーガ】
ちょっと前からトップページに「Feautured Post(人気記事)」として、インド占星術初心者の役に立ちそうな、なおかつ比較的ビュー数が多い記事をピックアップしています。一番人気は「インド占星術のアスペクト・ルール」。去年の5月に投稿したものですが、多くの方に見てもらっています。やはり一番わかりづらく、気になる部分なんですかね。
そのおかげか、Googleの検索順位に大きな変動があったらしく、最近徐々にアクセス数が伸びてきました。これからもみなさんの「知りたい」「ここが気になる」に応えられるような記事を書けるよう、精進していきます。
さて、今回はヨーガの紹介第6弾。
初心者なら一度は聞いたことがあるであろうガジャケーサリ・ヨーガです。
まずは成立条件を見てみましょう。
Gaja Kesari Yoga
【定義】
木星と月が互いにケンドラ・ハウス(1,4,7,10)の配置にある。
【意味】
すばらしく、裕福で、知性が高く、多くの徳性を備え、王に好まれる。
互いにケンドラ・ハウスの関係にあるとは、例えば月が木星の位置する星座から数えて1,4,7,10番目のハウスに位置しているということです。なのでコンジャクションも当然含みます。
でもちょっと考えてみるとわかると思うのですが、この成立条件は相当にゆるく、計算上では3人に1人はこのヨーガを持っていることになります。しかし、実はこのヨーガはその内実が非常に重要。なので、個人的には上の定義にもうひとつの条件を付け加えたいところです。
それはクオリティが良いこと。
つまり、惑星が強かったり、配置が良かったり、まったく凶星の影響を受けていなかったりということが重要なのです。
こちらは、最近鑑定させていただいたOさんのホロスコープ。
実は、完璧なガジャケーサリ・ヨーガにお目にかかったのはこれが初めてです。
木星と月は「幸運」の9ハウスでコンジャクト。さらに注目すべきはその強さです。木星は最高星位、月は定座で強く、さらに凶星(火星、土星、太陽)のアスペクトを一切受けていません。
思わず「何か信仰とか持たれていますか?」と聞いてしまったのですが、特定の宗教や信仰はないとのこと。ただ、スピリチュアル系の雑誌の編集をしていたことがあり、ご自身も直感を生かしてヒーラーとして活動したこともあるそうです。
また、ガジャケーサリとは関係ありませんが、金星と火星のコンビネーションは以前の記事「【対面鑑定】金星と火星のコンビネーション」で取り上げたものですね。
あと、このOさんに関してはいわゆる秘密の恋💜のご経験が多いです(ご本人が書いてもいいというので書きます(笑))。
ガジャケーサリ・ヨーガがもたらす「理想」
ガジャケーサリの話に戻りますが、このヨーガの最大の効力は強烈な理想主義をもたらすということ。その象徴とも言えるのが、このマハトマ・ガンジーさんではないでしょうか。
木星からみると月は4室。月は定座で強く、木星は友好の星座に位置しています(「【永久保存版】惑星の品位一覧」参照)。さらにガンジーの場合、ケンドラ・ハウスの7室と10室で成立していることが大きいといえるでしょう。7室と10室はどちらも「仕事」のハウスです。
素晴らしいクオリティのガジャケーサリ・ヨーガですが、しかしながらラーフと火星による傷もあり、完全無欠ではありません。ガンジーはインド独立に生涯を捧げましたが、最後はヒンドゥー原理主義団体の青年に銃で撃たれ、暗殺されてしまいました。
やはり凶星の傷は何がしらの瑕疵をもたらすということでしょうか。
「理想主義」のもうひとつの側面。
20世紀最大の悲劇のひとつとも言えるホロコーストを主導した独裁者、アドルフ・ヒトラーです。
木星は定座で強いですが、月は中立の星座。ケートゥとコンジャクトして傷ついており、3室(武勇)で成立しています。さらにホロスコープ全体を見てみると、ケンドラに全ての吉星が入っていたガンジーに比べ、ヒトラーは3つの凶星がケンドラに位置しており、さらに太陽、火星という凶星のパワーが非常に強いことがわかります。
ホロコーストはまさに悲劇ですが、ヒトラーにもある種のカリスマがあり、さらに彼の政策を当時の多くの人たちが支持していたのも事実です。
しかし、清廉な理想に殉じたガンジーと、誤った理想の実現に奔走したヒトラーの運命を分けたものは一体なんだったのか・・・。
ホロスコープを見ていると、さまざまなことを考えさせられます。