惑星同士の不思議なコラボレーション〜星座交換について
今回は、ホロスコープを見る上で頭に入れておきたい基本的なコンビネーション、星座交換(Exchange)についてお話しします。
星座交換とは、惑星同士のつながり、絡み方のバリエーションのひとつです。
惑星同士の絡み方については、同じ星座にふたつ以上の惑星が位置するコンジャクション、そして以前の記事(「インド占星術のアスペクト・ルール」)で説明したアスペクトなどがありますね。これらは比較的視認しやすい、目で見てわかりやすいコンビネーションだと言えるでしょう。
しかし、星座交換については、支配星の概念(「ハウスと支配星」参照)について理解していなければ気づくことはできません。ですが、この星座交換は惑星同士の絡み方としては最も強力なもの。そして同時に、最も見逃しやすいコンビネーションでもあるのです。
星座交換(Exchange)とは?
実はこの星座交換、パリヴァルタナ・ヨーガという別称が示す通り、ヨーガ(惑星同士のコンビネーション)の一種でもあります。
Parivartana Yoga
【定義】
在住している惑星同士の支配星が交換している。
【意味】
惑星の象意を強める。また、あたかもその星座に在住しているように振る舞う。
こうして文章で書いても何のことだかわかりづらいですね。では百聞は一見に如かずということで、次のホロスコープをご覧ください。
以前の記事(「【対面鑑定】子供を授かるまでに時間がかかるケース」)で取り上げさせていただいたSさんに再びご登場いただきました。
まず、ホームページの「インド占星術について」で解説しているそれぞれの惑星の支配星座を念頭に入れた上でホロスコープを見てみてください。
注目してほしいのは水星と月です。
・水星は月が支配する蟹座に在住している。
・月は水星が支配する双子座に在住している。
つまり、お互いの支配する星座に、交換するように入っていることがわかります。これがParivartana Yoga、すなわち星座交換です。
星座交換=「トンネル効果」
では、星座交換のもたらす効果とはどのようなものか?
BVBの清水先生はこれを簡潔に「トンネル効果」と表現しています。つまり交換された星座同士がつながるような効果があるということですね。Sさんのホロスコープでいえば、
1、水星は双子座に、月は蟹座に在住しているような効果があるため、惑星が強くなる
2、水星と月がコンジャクションしているような効果がある
3、1室と12室の象意が強力に結びつく
ということになります。
それでは、もうひとつだけ実例を見てみましょう。
アルバート・アインシュタイン博士のホロスコープです。
どこで星座交換が起きているかおわかりでしょうか?
水瓶座を支配する土星が魚座に、魚座を支配する木星が水瓶座に在住しているため、土星と木星(もしくは9室と10室)の間で星座交換が成立しています。
土星と木星が高揚するかのように強くなるのはもちろん、土星は9室、木星は10室を支配するため、ラージャ・ヨーガ(※)のような効果をもたらします。特に9室と10室の支配星同士のコンビネーションはダルマ・カルマ・アディパティ・ラージャヨーガといって、大女優・マリリン・モンローのホロスコープにもあった「大出世」のヨーガですね(「ハウスと支配星」参照)。
つまりアインシュタイン博士もまた、生まれながらにして職業上の高みに達することが約束されていたということでしょう。
惑星同士の結びつきとしては最強の効果をもたらす星座交換。しかし、「なんとなく」ホロスコープを見ていたのでは気づくことはできません。ぜひ一通りホロスコープの要素をチェックした後に、「星座交換はないかな」と今一度ホロスコープを見直してみることをオススメします。
※ラージャ・ヨーガ・・・原則的にはケンドラハウス(1.4.7.10)の支配星とトリコーナハウス(1.5.9)の支配星同士のコンビネーションを指す。出世・昇進を意味するヨーガ。