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インド占星術のアスペクト・ルール



今回は惑星のアスペクトについて解説してみようと思います。

以前の記事「ハウスと支配星」で惑星の在住と支配について説明しましたが、アスペクトもまた、ホロスコープを読み解く上で絶対に外すことのできない基本概念といえます。

Aspect(アスペクト)はドリシュティ(Drishti)とも呼ばれ、「見る」ことを意味します。

文字どおり、惑星が別の星座(あるいは惑星)を「見る」、視線を投げかけるわけですね。

惑星は在住した星座(ハウス)に影響を及ぼすのは言うまでもありませんが、アスペクトで別の星座(あるいは惑星)を「見つめる」ことによって、遠く離れた場所にも影響を与えることができるわけです。

それでは、具体的に見ていきましょう。

原則1:惑星は対角線のハウスにアスペクトする


マリリン・モンローのホロスコープを例に説明します。

矢印が示しているように、金星は対角線の星座である4室の天秤座にアスペクトしています。

惑星は、在住する星座から数えて7室にアスペクトする。これが第1の原則にして基本中の基本です。

マリリン・モンローの4室には土星が在住している。土星は凶星なので(高揚していますが)、当然4室は傷つきます。しかし、そこに吉星の金星がアスペクトすることでその傷を緩和し、吉意をもたらしているのです。

幼少期のマリリン・モンローは両親に見捨てられ、孤児院で孤独な生活を送っていましたが、女優として成功してからはLA郊外のブレントウッドの豪邸を購入しています。4室には「家」という意味がありますが、この経歴は4室の土星だけを見ていたのでは説明できません。しかも、金星は11室(獲得)の支配星でもあります。

また、当然天秤座に在住する土星は同じくそこから数えた7室である牡羊座にアスペクトします。つまり、対角線上の星座に在住する金星と土星はお互いにアスペクトしあうわけで、これを相互アスペクトと呼びます。

原則2:ラーフ・ケートゥはアスペクトしない

9つの惑星のうち、ラーフとケートゥは実体のない架空の天体のため、原則的にアスペクトはしません。しかし、ラーフとケートゥは在住する星座から5,7,9番目の星座にアスペクトするという説もあり、このあたりは見解が分かれるところです。

少なくとも、大家のK.N.Rao師や清水先生はラーフとケートゥのアスペクトは採用していないので、僕自身はその見解に従っています。今のところそれで違和感を覚えたり、困ったことはありません。

原則3:火星は4番目、8番目の星座にもアスペクトする


ここからは例外則です。

火星、木星、土星といった地球よりも外側の天体には、基本的な7番目のアスペクトの他にも特殊なアスペクト・ルールがあります。

上の図のように、火星は在住する星座から4番目、7番目、8番目の星座にアスペクトします。

マリリン・モンローは蟹座ラグナなので、2室、3室、11室にも火星の影響が及んでいるということですね。火星は凶星なのでアスペクトされれば当然傷つきますが、マリリン・モンローの火星は5室と10室を支配するラージャ・ヨーガ・カラカなので、凶意の中にも吉意が含まれることに注意したいところ。

なぜ4番目と8番目にアスペクトするのか?

それは、火星が軍事を象徴する惑星であり、軍隊は国民の財産(4室)と寿命(8室)を守るのが使命であるから、という理由があるようです。

原則4:木星は5番目、9番目の星座にもアスペクトする


木星は在住する星座から5番目、7番目、9番目の星座にアスペクトします。

木星からのアスペクトはその人が「加護を受けている領域」を示していると僕は思っています。

何しろ最大吉星の木星ですし、マリリン・モンローのように9室(幸運)を支配している場合などはなおさらでしょうね。

先ほど4室にアスペクトする金星の話をしましたが、木星もまた4室の天秤座にアスペクトしています。金星と木星という2大吉星のアスペクトはマリリン・モンローの4室のクオリティを大幅に引き上げていると言えるでしょう。

ちなみに、マリリンが晩年を過ごしたブレントウッドの豪邸の写真がこちら。



敷地は約240平行メートル、4つのバスルーム、3つの寝室にプールとゲストハウス付き。マリリンの死後は690万ドル(約7億6000万円)で売りに出されたそうです。

原則5:土星は3番目、10番目の星座にもアスペクトする


土星は在住する星座から3番目、7番目、10番目の星座にアスペクトします。

どのハウスを支配しているかにもよりますが、やはり凶意の強い惑星なので、土星からのアスペクトは要注意です。特に、火星とアスペクトが重なっていたり、アスペクト先にラーフ・ケートゥが在住している場合はそのハウスの象意が深く傷つくことになります。

彼女の場合、まず目立つのは6室の傷ですね。凶星であるケートゥが在住し、そこに8室を支配する土星がアスペクトしています。

6室の象意は「事故、流産、犯罪、借金」など。マリリンは30代に流産を経験していますし、生活苦で車のローンが払えず、ヌードモデルをしていた時期などもありました。また、その死については他殺の疑いもあり、今もなお謎に包まれています。

このように、惑星のアスペクトに注目することで、ホロスコープをさらに複雑に、より立体的に読み取ることが可能になります。ぜひ試してみてください。


ラージャ・ヨーガ・カラカ・・・ケンドラ・ハウス(1,4,7,10)とトリコーナ・ハウス(1,5,9)を同時に支配する惑星をラージャ・ヨーガ・カラカと呼ぶ。蟹座・獅子座ラグナの火星、山羊座・水瓶座ラグナの金星、牡牛座・天秤座ラグナの土星がそれにあたる。ラージャ・ヨーガ・カラカの時期は社会的な上昇をもたらす。


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