ホロスコープに刻まれた「成功の証」【ラージャ・ヨーガ】
ヨーガの紹介シリーズ、今回は「出世・昇進」をあらわすラージャヨーガについての解説です。
鑑定でほぼ100%聞かれる質問が「仕事について」。やはり仕事における成功・不成功というのは現代人の主要な関心事ですよね。
ラージャ・ヨーガとは、直訳すれば「王者のコンビネーション」。要は、その人が「王様になれるか」、あるいは「王様に気に入ってもらえるか」。現代に置き換えれば「社会でどのくらい成功できるか」に関する指針となるものです。
つまり、ホロスコープにあるラージャヨーガの数やクオリティを見ることでその人の「仕事」に関するポテンシャルを、そしてダシャーがラージャヨーガに絡んでいるかを見ることで成功の時期を知ることができるわけですね。
それでは、詳しく見てみましょう。
Raja Yoga
【定義】
①ケンドラ・ハウス※1とトリコーナ・ハウス※2の支配星がコンジャンクトしている。
②ケンドラ・ハウスとトリコーナ・ハウスの支配星が相互アスペクトしている。
③ケンドラ・ハウスとトリコーナ・ハウスの支配星が星座交換している。
【意味】
王になる、傑出する。
上の定義は聖仙パラシャラの著した「Brihat Parashara Hora Shastra」の記述を元にしています。つまり、大昔(成立年代は5000年前とも言われる)の聖典にちゃんと書いてあるわけですね。
「王になる」というのは大袈裟ですが、要は「出世・昇進」をもたらすコンビネーションだということでしょう。
ラージャヨーガで成功の時期を知る
こちらは映画監督ウディ・アレンさんのホロスコープ。ASTRO DATABANKで出生時刻の信ぴょう性はAA(出生証明書)です。
さて、このホロスコープの中にラージャヨーガはいくつあるでしょうか?
1. 太陽ー木星(1室の支配星と5室の支配星のコンジャクト)
2. 土星ー木星(7室の支配星が5室の支配星にアスペクト)
3. 土星ー太陽(7室の支配星が1室の支配星にアスペクト)
4. 火星(4室と9室を同時に支配する)
ちなみに2と3は上の定義②の変化形です。相互アスペクトではありませんが、僕はこの場合でもラージャヨーガと見なしています。
4は、ひとつの惑星が同時にケンドラ・ハウスとトリコーナ・ハウスを支配する場合。牡牛座ラグナの土星、水瓶座ラグナの金星などがこれに当たりますが、これをラージャヨーガ・カーラカと言い、単独でラージャヨーガの効果をもたらす惑星として振舞います。
また、水星は2室と11室の支配星ですが、ラージャヨーガをもたらす惑星とコンジャンクトしているので、この場合も同様の効果をもたらすと言えそう。
つまり、太陽、木星、土星、火星、水星の5つがラージャヨーガに絡んでいる惑星となり、理論上ではこの惑星のダシャーがウディ・アレンにとっての成功の時期となるはずです。
果たして、ヴィムショッタリ・ダシャーにはちゃんと出ているのでしょうか?
ラーフ期(1938/10〜1956/10)
・ハイスクール在学中に、ハガキ職人としてラジオにギャグを送りはじめる。
・ニューヨーク大学教養学部に入学するも中退。
木星期(1956/10〜1972/10)
・1958年 放送作家として活躍。シド・シーザーの特別番組でシルヴァニア賞を受賞。
・1963年 スタンダップ・コメディアンとして活動し、この年『ニューヨーク・タイムズ』に舞台評を書かれたことがきっかけで映画の道へ。以降、1年に1本のペースで作品を生み出し続ける。
土星期(1972/10〜1991/10)
・1977年 『アニー・ホール』でアカデミー監督賞・作品賞を受賞。
・1986年 『ハンナとその姉妹』でアカデミー脚本賞を受賞。
他、セザール賞など受賞多数。
水星期(1991/10〜2008/10)
・1995年 ヴェネツィア国際映画祭栄誉金獅子賞受賞。
・2002年 カンヌ国際映画祭で名誉パルムドール(特別生涯功労賞)受賞(史上二人目)。
他、出演者のオスカー受賞や、ノミネート多数。
ケートゥ期(2008/10〜2015/10)
・2011年 『ミッドナイト・イン・パリ』でアカデミー脚本賞を受賞。
こうして見ると、20歳に木星期が始まってから72歳のケートゥ期を迎えるまでウディ・アレンはずっとラージャヨーガの時期を過ごしたことになり、まさに破竹の勢いでキャリアを形成していったことがわかります。
また、続くケートゥ期はラージャヨーガには直接絡んでいませんが、「受賞・栄誉」を意味する11室に在住しており、やはり社会的成功を約束しています。
現在はラージャヨーガにも11室(受賞・栄誉)にも絡んでいない金星期。興行的にはややトーンダウンしている印象ですが、金星は10室(仕事)を支配しているので、ウディ・アレン本人としてはただ好きな作品を好きに撮っているだけで、そういうことはあまり気にしていないのかもしれないですね。
というわけで、今回社会における「出世・昇進」の時期を読み取るラージャヨーガの基本をご紹介しました。ラージャヨーガの世界は奥が深く、こうした原則の他にもさまざまな派生形や例外則がありますので、おいおい紹介していきたいと思います!
※1 ラグナから数えて1,4,7,10番目の星座のこと。ケンドラ・ハウスは「ヴィシュヌ・スターナ」とも呼ばれ、ホロスコープ全体のクオリティを左右する。
※2 ラグナの星座から数えて1,5,9番目の星座のこと。女神ラクシュミに象徴される「幸運」のハウス。
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